タッチネットの本当のルール、ご存知ですか?【バレーボール6人制】

ルールブックを見ていると、「?!」と思うことがあります。
特にタッチネットについての説明を見ると、審判は大変だなと思ったりします。

というのも、とにかくネットに触ったら反則!と思いがちですが、実はそうではなく、
ネットに触っても反則にならない場合があるのです。

だからといって、じゃあ触ってもいいんだ!と思うのは大間違いです
プレーヤー的には、とにかくネットには触らない!と思っておくことが正解です。
ただ、審判をする場合、ネットに触れてもOKと判断をする場面が出てきます。

ということで今回は、タッチネットのルールを紹介していきます。
自分が主審をしていることを想像しながら、読み進めてみてください。

タッチネットの定義

タッチネットという反則の定義を確認してみましょう。

どこに触れたら反則?

両アンテナ間のネットを触ると、タッチネットとなります。

当てられた場合はOK

例えば相手チームのスパイクがネットに当たり、その反動でブロッカーの手にネットが触れた場合、反則ではありません。
まあ、当然と言えば当然ですよね。

よろけたのでネットを支えにしちゃった!

例えばスパイク後にバランスを崩して、ネットに掴んだ場合も反則です。
掴む前に得点を決めていれば、反則ではありません。

ボールプレー

タッチネットについてルールブックを確認していると、ボールプレーという言葉が出てきました。
何となく分かるのですが、今ひとつ理解できませんでした。

ボールをプレーする動作とは?

  • ボールをプレーする動作の中には、(主に)踏み切りからヒット(またはプレーの試み)と安定した着地、新たな動作への準備が含まれる。
  • ボールがプレーされているときに、ボールの近くにいるいかなる選手やボールをプレーしようとしている選手自身も、たとえボールに触れなくてもボールをプレーする動作中とみなされる。

公益財団法人日本バレーボール協会 2018年度版 バレーボール6人制競技規則

そもそもラリーが続いている間、プレーヤーはボールをプレーするために動いているはず。
となると、ボールに触れてない動作もボールをプレーする動作=ラリー中の動作は全てボールプレーでは?
ルールブックでは、この疑問が解消しなかったので、ケースブックを参考にしました。

ケースブックより

3.17 ブロッカーが着地し、振り向いたときに、その選手は両アンテナ間のネットの網目部分に肩が触れてしまった。これは反則にすべきか。
ルール 反則ではない。 選手が着地後に振り向く前に、ボールをプレーする動作が完了していたので、そのネットへの接触は反則ではない。
公益財団法人日本バレーボール協会 2018年度版 バレーボール6人制競技規則

どうやら「ボールをプレーする動作」の定義は、私の理解とは違う様です。
もう少し見てみましょう。

3.18 Aチームのアタッカーはポジション4からアタックをした。相手チームのブロッカーは、(おとりのアタッカーに振られて)ポジション2でネットに触れた。
これはタッチネットの反則か。
ルール 反則ではない。 ボールへのプレーする動作中の両アンテナ間のネットへの接触は反則である。しかし、相手の選手はボールをプレーしようとする動作の近くではなかったので、その選手は反則をしたことにはならない。
公益財団法人日本バレーボール協会 2018年度版 バレーボール6人制競技規則

なんと、振られたブロックでネットを触っても反則にならないとは!
となると、「ボールに直接絡まない動作は反則ではない」となりそうです。
もう少し読み進めます。

3.19 ブロックを試みようとして、ブロッカーはボールの近くにいたが、そのボールに触れることなくネットに触れてしまった。
これは反則か。
ルール 反則である。 これはプレーをする動作中であり、ボールをプレーしようとしているので、たとえボールに触れなくても反則となる。
公益財団法人日本バレーボール協会 2018年度版 バレーボール6人制競技規則

相手を止めに行ったブロックでネットに触れたら、反則に決まってる!と思ってしまいますが、さらに読み進めます。

3.20 ミドルブロッカーは、コンビプレーを止めようとして腕をネットから出したが、ネット上端の白帯に触れた。
これは反則か。
ルール 反則である。 ネットに触れることはまさしく”タッチネットの反則”である。ブロッカーはその動作の近いところにいた。そして、その接触は両アンテナ間であった。
公益財団法人日本バレーボール協会 2018年度版 バレーボール6人制競技規則

先ほどのルール(3.18)も含めて考えると微妙な感じになりますが、
ブロッカーはその動作の近いところにいた。
とあるので、恐らく相手のスパイクをブロックしている(=ボールをプレーする動作)のでしょう。

つまり、ボールへの接触ないしその付近でのプレーを、ボールプレーと定義できそうです。

ブロックでの反則

センターのコンビ(速攻)に対してブロックしてネットに触った場合、

  • 相手がセンターではなくレフトやライトからスパイクを打っていたら、反則ではない
  • 相手がセンターからスパイクを打ったら、反則

ということになります。

スパイクでの反則

スパイクの動作で考えると、

  • 助走
  • ジャンプ
  • スパイク
  • 着地
  • 次の動作(例えば後ろに下がるなど)

助走から着地と次の動作の前まででネットに触れると反則、ということになります。

髪の毛が当たったらどうするの?

もう一つ、特に女性が注意すべきケースがありました。

3.25 ボールをプレーする動作中に、選手の髪がネットに当たった。
この動作は反則でなかったか。
ルール これは反則ではない。 ネットタッチがボールをプレーできる相手の状態に影響を与えたり、(たとえばポニーテールが網目に絡まったりして)ラリーが中断された場合などの、明確な場合でのみ反則とみなすべきである。
公益財団法人日本バレーボール協会 2018年度版 バレーボール6人制競技規則

動作中に髪の毛がネットに当たっても反則じゃないということです。
バレー部@中学生の頃、髪の毛が当たるから坊主にしろ!と顧問が言ってましたが、現在は通用しないということですね。
いや、そのロジックだったら女性も坊主にしないとダメじゃん・・・

反則とならない部分でも反則になる場合

ここが微妙な部分です。
知っていると知らないで大違い!かもしれません。

他の場所は触れてもOK!だけど

上記、両アンテナ間のネット以外の部分、例えば、支柱やネットと支柱を結ぶロープに触れてもタッチネットではありません。
しかし、それにより相手チームのプレーを妨害したり、自チームを有利な状況にした場合は反則です。

[9.1.3] アシステッドヒット

言うまでもなく、チームメイトや支柱を使ってジャンプしてスパイクなどをすることも、反則です。
ただし、タッチネットやパッシングなどをしそうになる選手を助けるのは問題ありません。

審判だったら迷いそうなケース

ケースブックで確認してみましょう。

3.21 ボールがまだインプレー中に、アタッカーが着地した後で、2歩動いて、アンテナ外側のネットをかすめた。これは反則か。
ルール 選手は反則をしていなかった。 
なぜなら、

  • 触れたのはアンテナの外側であった。

そして、

  • 選手はすでにボールをプレーする動作を終え、新たな動作への準備ができていた。
  • 選手は支持を得たり、身体を安定させたりするためにネットを使っていなかった。

3.22 ボールがまだインプレー中に、アタッカーがバランスを崩してフロアに着地した後で、2歩動いて、両アンテナ間のネットを胸で押した。
もしも、この選手がネットをつかまなければ、相手コートの上に倒れていた。
これは反則か。
ルール 反則である。 もしも、選手が支持を得たり、身体を安定させるために両アンテナ間のネットを使った場合は、その動作はプレーに対するインターフェアとみなされる。
公益財団法人日本バレーボール協会 2018年度版 バレーボール6人制競技規則

ネットを利用しての動作は、倒れそうで危ないという理由であっても、反則となります。
この2つのケースは、意外にありそうなケースなだけに、瞬時の判断が必要になりそうですね。

3.22 セッターが短いトスを上げ、アタッカーがボールをヒットしたときに、膝がセッターに接触した。この接触が原因で、セッターはネットをかするように触れた。
これは反則か。
ルール 反則である。 なぜなら、セッターはボールをプレーする動作中であった。
公益財団法人日本バレーボール協会 2018年度版 バレーボール6人制競技規則

このケースは速攻を想定しているのでしょうが、疑問が残りました。
例えばバックアタックなどでセッターのトスの動作が終了した状態で、バックアタックしたプレーヤーがぶつかってきたら、反則でしょうか?
少々当たったくらいなら反則ではなく、セッターがよろけてネットで支持を得たり、身体を安定させたりしたら反則になりそうですが、どうなのでしょう?

さいごに

ネットに触れなければ済む話ではあるのですが、プレー中にどうしてもネットに触りそうな場面も出てしまいます。
そんな時このルールを思い出せば、不要な反則を取られずに済むかもしれないし、審判になっても慌てずに判断できると思います。

タッチネットは経験者ですら、
ネットに触る=はい反則!
という理解の人も多いので、しっかりルールを身につけておきましょう!